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執筆者の写真Takeaki Iida

1/18/2022 楽器演奏とキネマの会の道半ば ~ 私の「クラシック映画論」~ (part 2 of 2)

私の「クラシック映画論」

昔の映画は名作・佳作が多いと思いますすが、世代が変わると説明しても中々に伝わり難いのが常で、数年前から私が思う「クラシック映画論」について、以下のように説明すれば他の人に分かりやすいかな~と思うようになりました.


現代は兎にかく毎日が忙しい!!! IT(またはコンピューター)が発達し、情報はスマホやラインで見たりやり取りする社会がその傾向を一層助長しているように思えます.

私の生きてきた時代も高度経済成長期であり、大変忙しかったように思いますが、ITがまだ未開発の時代だったので情報を瞬時に取得することは難しく、情報のある所や場所へ出向く(アクセスする)必要がありました.つまり、辞書や百科事典を紐解いたり、新聞や雑誌を見たり、映画を見たり、音楽会を聞きに行ったり、レコードを聴いたり、絵画展に行ったり、読書をしたり...


この中で前半部分、すなわち辞書や百科事典を紐解いたり、新聞や雑誌を見たりが、ITの発達のおかげであまり必要とされなくなりました.そして後半部分、つまり映画を見たり音楽会に行ったり、レコードを聴いたり絵画展に行ったり、読書をしたりは、映画を見たり以外は、音楽、図工、国語といった小中学校で知育として学ぶ授業の課目にある分野であり、好きか嫌いかは個々人で違うにしても、基礎的な知識と実技は学ぶ機会のある芸術文化であることが分かります.


音楽についてはクラシック音楽の歴史について、バッハ、ヘンデル、ハイドン、ベートーベン、モーツアルト、ブラームス、ショパン、メンデルスゾーン、チャイコフスキーやドビュッシー、ラベル、ビゼー、ムソルグスキーなどから近代のヒンデミット、ベルグや武満 徹まで名前は教科書にも出てくるし、ピアノやオルガンを伴奏に歌を唄い合唱するという授業もあります.絵画も図工の時間に、画家の歴史について、ボッティチェリー、ミケランジェロ、ラファエロ、ミレー、コロー、レンブラント、モネー、ルノアール、ドガ、ターナー、ピカソ、ゴッホ、クリムトなどの名前と代表作が教科書に印刷されていたし、西洋文学ではシェークスピア、ヘルマン・ヘッセ、トルストイ、ドストエフスキー、ヘミングウエイ、日本文学では森鴎外、樋口一葉、夏目漱石、山本有三などを必ず思い出します.


映画は娯楽か芸術か「クラシック映画論」


映画を芸術文化と認めるか否か、つまり単なる娯楽か大衆芸能と考えるかどうか議論の分かれる所かと思いますが、学校の授業では取り上げられないこともあり、また一本の作品を鑑賞するには最低でも2時間程度は時間を必要とします.又どれが良い作品なのか分からないし、私の思う良い作品は殆どが1940年代、50年代、60年代に集中していて、それらの作品を見る機会はなかなかない.感動を呼ぶ良い作品(傑作とか秀作)に行きつかないのが現代の社会ではないかと思います.傑作・秀作と呼ばれる映画は、原作や脚本及びテーマがしっかりしているものが多く、それを支える監督、俳優、キャメラ、音楽がまたしっかりしているためだと思います.


1970年代以降に制作された映画は、強い刺激を求める人たちには満足のいく作品かも知れませんが、観る人に感動を与える良い作品は極めて少ないと言っても過言ではありません.


依って、現代の人たちが少ない時間を割いて劇場で見る映画は、例えば文学で言えば古典を読むことなく、いきなり村上春樹やカフカを読んだり、絵画で言えば印象派の絵画を鑑賞することなく、いきなりピカソや池田満寿夫の作品を見ていたり、音楽で言えば古典派やロマン派の名曲を聴かずして、ベルグや武満 徹の音楽に接している可能性が高いと思います.どんな芸術文化でも同じですが、良い作品に出合うまでには、その数倍又は時として数十倍もの平凡な作品や駄作、見るに値しないくだらない作品を見聞きする中から、良し悪し (好き嫌いも含めて) の価値基準が自ずと自分の中に出来てくるもので、その過程もまた大切だと思います.しかし、現代社会はあまりにも忙しいのと、映画に関してはもう一つ厄介なことに、作品の保存状態で経年劣化してカラー物は色彩が衰える度合いが、他の芸術文化の作品に比べかなり激しいので、古い時代の映画を沢山見ることは、殆ど不可能に近いと思います.音楽ではレコードが同じように劣化しますが、音楽の場合には作曲家の作品の演奏であり、演奏者の作品の劣化であって、映画のオリジナリティとは少し異なると思います.私の思う感動をもらう良い作品(傑作や秀作)は、1960年代以前に殆ど制作されていて、従って、それらの事を私は「クラシック映画論」という呼び名で理解して頂こうと思うようになりました. 


筆者後記:


本稿は5~6年前に以前に勤めていた企業のOB会の季刊誌に投稿した文章を現在の自己の状態に照らして一部表現を改めたもので、修正しても直、冗長な表現であったり、分かりにくい部分が多いと思いますが、オリジナリティを損なわない程度に留めたので、その点をご理解いただきたくお願いする次第です. ’Part 1退職後に始めた趣味の世界’ も宜しければご笑読ください.    


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