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  • 執筆者の写真Kotaro Yasuda

3/25/2021 伊丹敬之 著「日本企業の復活力」を読んで


10年前の東北大震災のあとの復興と日本人の協力・団結・忍耐・秩序に感心した外国の友人は一様に、日本人の「resilience」を称賛しました.弾力ある跳ね返す力、即ち復元力が素晴らしい (resilient) と言いました.さらに、火事場泥棒のような「vandalism」(ヴァンダリズム・破壊行為) が無い社会秩序が存在するのには感動を覚えるとまで言っていました.


その我が国は、バブル崩壊後の失われた30年経った今日の活力と勢いの乏しさには第二の敗戦を経験しているかのようにさえ感じます.敗戦より始末が悪いのは、敗戦した自覚なく日々過ごしていることです.負けた認識がないので、resilience の発揮の仕様がありません.そして、坂をずるずると危険を感知しないまま転げ落ちているかのようです.


コロナ禍終息後に訪れる「戦後」に我が国と国民は resilience たくましく挑戦して、復興・復活して行くのでしょうか?


日本人の美徳・勤勉・集団秩序などの長所が目覚ましい経済成長を可能にした要因だったのは間違いありません.長所が最大限活かせたのが第二次産業分野だったからです.所得倍増の結果、製造業は国際移転を余儀なくされ日本はもはや付加価値の高くない第二次産業を柱としては立脚できない経済基盤の時代にいます.第三次産業、情報ソフト産業、付加価値の高いニッチな産業が国を支えねばならない段階に来ています.競合相手は教育水準の高い先進国と昇龍の発展途上国です.政・官・民が一枚岩で挑戦せねば勝てる戦ではあり得ません.今後、国際化とIT化の波に益々飲み込まれていきます.Communication literacy と IT + Computer literacy の優劣が国の運命を決めかねない時代に突入しています.政・官・民、全てのレベルで日本は優等とはいえず、むしろ先進国の中では劣等化しつつあると言っても過言ではありません.下手をすると先進国の仲間から外されかねません.将来を見据えた長いスパンで教育を如何にするかは50年後、100年後の日本の命運を決めかねない大問題のひとつです.詰まるところ、人の問題です.その位の危機意識の下、敗戦から復活せんとする、産業・学術・教育面での気概・ヴィジョン・具体的戦略戦術が不可欠です.


伊丹敬之氏の視点と論点は全くご尤もな一各論で、賛同します.よく言われる、「Number One」よりむしろ「Only One」を目指せと.世界を席巻している GAFA は今でこそそれぞれの分野で Number One ですが、創業当時は Only One 的発想で成長したのではないでしょうか.


全体を包括する正しい建設的な総論の中にあって、幾多の魅力的して高付加価値を産む各論が整合してほしいものです.



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